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2019.03.29

category: 本のこと

夜と君が色を添えるもの


                      胸への迫り方が、関わるその時間帯によって

                      ずいぶん変わると思うものに、

                      物語・・・本の世界のことがある。

                      読み進めてゆくごとに

                      (これは、危ない)と思いながらも、昨夜は

                      ページを捲る指を、最後まで止めることができなかった。

                      すべての音を吸収するかのような闇が、

                      そして、あの子の存在が、悲しみとやるせなさを、

                      次第に胸の中で肥大させてゆく。

Rui20190329.jpg
My dear bard
Rui・・・

                    『幸福におなりなさい。お望みの赤いばらをさしあげましょう
                    それを月明かりのなかで音楽から作りだし
                     あたしのこの胸の血で染めてあげましょう。』

                    ばらを胸の血で赤く染め上げ、

                    自らの命と引き換えに得たその花を、

                    恋しい人に捧げた一羽のナイチンゲール。

                    それでも、その悲しい犠牲は、報われるどころか、

                    ナイチンゲールの命そのもののようなその薔薇は、

                    最後はその青年の手によって投げ捨てられてしまうのだ。

                    私は、その薔薇共々、深い闇の中に

                    放り投げられてしまったような気持ちになる。

                    落ち込んでしまった色濃い闇の中、

                    私は、寝室の真下のリビングで、ひとり眠っているあの子に謝る。

                    (ルイちゃん・・・ごめんね・・・ごめんね・・・ルイちゃん)

                    まるで、あの子が、そのナイチンゲールであるかのように・・・

                    そして、この私が、その愚かであさましい青年でもあるかのように。


                                                  『』内
                                         オスカー・ワイルド著*幸福な王子*
                                         『ナイチンゲールとばらの花』より







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2019.02.20

category: 本のこと

プリンセスミート

Rui and Book

                     折に触れ耳にするあの曲は、バレエのための音楽で、

                     実際、この目で観たことはなくても、その曲を聞いたなら、

                     あの情景は、すぐさま、ありありと眼に浮かんでくるし、

                     お姫さまの名前は、『オデット』であるのだし、

                     どうやらその姫は、魔女に

                     白鳥の姿に変えられたらしい物語で、

                     それから・・・えっと・・・あれ・・・?

                     よくよく考えてみたら、私は、物語としての

                     『白鳥の湖』を知らないのだった。

                     だいたいのあらすじなら、ネットでも知ることができるけれど、

                     どうせなら、本という形として、そばに置きたくて。

                     大人らしく、幻想的な絵、儚げな色使い。

                     とても美しい絵本だ。

Swan201811a.jpg
11月のいつか。
Love Swan

                     オデット姫の周りで踊る美女たちは、

                     侍女たちであり、王子の名は、ジークフリード。

                     姫の呪いを解くことができるのは、ゆるがぬ愛の力だけ・・・

                     ふたりの恋から愛への物語。

                     そうか・・・そうだったんだ。

Swan201811b.jpg

                     ここにきて、初めて、改めて知る物語。

                     知った気でいるのは、よくないんだなと

                     気づかされもした物語。






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2019.02.04

category: 本のこと

雪子ちゃんに呼ばれて・・・


                     江國香織さんの本は大好き。

                     だから、いつも見つけた時は、無条件に求める。

                     こちらの『雪だるまの雪子ちゃん』も

                     2009年に出版された際、

                     すぐにうちに連れてきたのだった。

                     ところが、これがどうだろう

                     1ページ、2ページ、3ページ・・・

                     捲っても、捲っても、物語に入り込めない。

                     目は、文字を追う

                     でも、気持ちは、現実、日常に置き去りのまま

                     心、物語にあらず・・・。

                     (もう、これは、少し置いておこう)

                     諦めて、本棚に積んで置き、一年、二年、幾数年かが過ぎ、

                     その上にさらに、別の積読本が、一冊・・・二冊・・・。

                     そのうち雪子ちゃんは、まさに、根雪のようになり、

                     彼女は、他の根雪たちと共に、身動きの取れぬ状態に。

                     本棚の中の読んでもらえぬ雪子ちゃんの視線に

                     いたたまれなくなり、私は、いったん、雪子ちゃんを手放したのだった。

                     それが、今年、書店で、

                     小さなサイズになった雪子ちゃんと再び出会った。

                     (今なら、雪子ちゃんの世界に入ってゆけそう)

                     直感めいたものが働いた。

                     1ページ・・・2ページ・・・どんどん進む。

                     物語とも、『会い時』『今が、その時』があるのだ

                     ということを、読みながらにして思う。

yukiko2.jpg

                    例えば、

                    『ごくまれに、この世で家族にばったり出くわす雪だるまもいます
                    記憶がきわめて鮮明なので、その場合はたがいに
                    ひと目で相手がだれだかわかります』とか、

                    『音楽のない人生はさぞ無味乾燥なものだろう』とか、

                    雪子ちゃんが、ネズミに向って言う
     
                    『わたしはあんたたちにわるさなんてしないのに、
                    どうしてこわがるのかわからないわ』とか、

                    今の私だからこそ、胸に染み入るように解ることばかりなのだもの。

                    それにしても、雪子ちゃん、良かった。

                    あなたは夏になっても溶けないのね?

                    野生の雪だるまである、雪子ちゃんは、

                    夏になったら、冬眠ならぬ、夏眠するのね?

                    雪子ちゃんが、溶けてしまったりしないで、本当に良かった。

 



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2019.01.11

category: 本のこと

寄る辺ない夜に・・・共に震えし物語


                    『みにくいあひるの子』『人魚姫』『おやゆび姫』

                    アンデルセンの描いた物語は、どれも好き。

                    その中、自身の子供時代の心を取り出し、振り返り見ると

                    殊、深く印象に残っているのは『マッチ売りの少女』だ。

                    (こんなに小さいのにマッチを売りに行かせられるなんて・・・)

                    (こんなに小さいのに誰も助けてくれないなんて・・・)

                    (裸足なのに・・・こんなに寒いのに・・・雪まで降っているのに・・・)

                    (こんなに小さいのに・・・小さいのに・・・)

                    少女の私は、物語の中の少女と、共に震え、共に泣いた。

machi20190109b.jpg

                    この絵本は、最近、迎えたものだ。

                    町田尚子さんの絵が、とても美しい。

                    物語の良さは、内容は変わらないはずなのに

                    読み手のその時々によって、心への働きかけが

                    変わってゆくことに、ひとつの魅力が、あると思う。

machi20190109c.jpg

                   『けれど、ほんのすこし ほほえんでいる おんなのこが
                   どんなに うつくしい ものを みたか、
                   どんなに しあわせな きもちで てんに のぼっていったかを
                   しっている ひとは、だれも いませんでした』

                   今の私自身に、いちばん読み聞かせたい言葉は

                   最後のページにあった。

                   内側の幸せは・・・誰にも見えない・・・決して誰にも計れない。


                                              『マッチうりのしょうじょ』
                                             *アンデルセン童話より*
                                               やなぎや・けいこ 文
                                               町田尚子 絵                    

                    

 

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2019.01.09

category: 本のこと

美しいものは、そばに・・・


                    それは、図書館のHP新着書籍コーナーで見つけた。

                    中身を確認することはできずとも

                    『私が絶対好きなもの』と他人事のように確信した。

                    でも・・・高価な本だ、私にしてみれば。

                    「買うのは図書館から一度借りてからにしたら?
                    今なら予約者が誰もいないし早く見れる」

                    「でも・・・やっぱり自分のものにして
                    いつでもそばに置いて好きな時に開きたい」

                    いつものように自問自答。

                    こんな時、頼りになるのは、インスタグラム。

                    ハッシュタグを辿れば、本の幾つかのリアルな情報を知ることができる。

                    かくして、この本は、私の元に。

fairy20190109b.jpg

                   『鳥は、妖精たちに気づかれずに
                   妖精の国に出入りできる不思議な生き物です。』

                   (ほらね・・・?この世界観、やっぱり私の好きなものだ。
                    好きなもの、美しいものは、そばに置かなくちゃ)

                   私は、誰にともなく後付けで言い訳する。

Rui20190109.jpg

                  ところで、ルイちゃん?

                  ルイちゃんも私の知らないうちに

                  妖精さんの世界に行ったりしてるの?

                  もしそうなら、こっそりわたしにだけ教えてよ ?

                  妖精たちのお伽話を・・・ね?


                                                  *妖精の手引き書*
                                             *不思議で美しいフェアリーの世界*
                                                  キャロリン・タージョン著





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Author:琴美
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